~消滅時効の援用で失敗しないために知っておきたいこと~
キャッシュレスが浸透しつつある昨今、クレジットカードを利用する方は多いのではないでしょうか。
クレジットカードは便利である一方、滞納するとカード会社からただちに支払いの催促が始まり、クレジットカードは利用不可になります。
ここでは、クレジットカードの支払いを滞納したり、放置したりするとどのようになるのかについて紹介します。
支払いの引き落とし日に、指定の口座から引き落としができない場合、クレジットカード会社から残高不足で引き落としができなかった旨のハガキが届きます。
「○月代金の支払いが未納なので、期日までに支払いを完了してほしい」といった内容であるため、ハガキが届いたら速やかに支払いをしましょう。
支払いが確認できるまで一時的にクレジットカードの利用はできません。
期日までに支払いができなかった場合、カード会社から督促状・催告書が届きます。督促状は、再度支払いが未納になっている金額と支払い期日が記載されており、文字どおり支払いを督促する書類です。
催告書は、支払いの催促はもちろん、滞納が続くようであれば法的措置を取るとの内容が記載されています。督促状・催告書ともに最後通告ですので、速やかに支払いをするようにしてください。
一時的に利用停止だったクレジットカードは、督促状・催告書の放置により、強制解約されます。クレジットカードが強制解約になると、同じクレジットカード会社の利用はできません。
強制解約の情報はクレジットカード会社独自の情報に半永久的に保存され、同グループ会社のカードは一生作れない可能性が高まります。
クレジットカードが作れないと、現金またはデビットカードでの支払いを選ばざるを得なくなるでしょう。
クレジットカード会社からの督促状を放置し続けると、未払金の一括請求が行われます。請求を求める文書は内容証明郵便で郵送されますので、受け取っていないといった言い逃れはできません。
内容証明郵便とは、日本郵便が「いつ誰が誰にどのような文書を送ったのか」を証明するものです。一般的には、督促状や契約解除通知などに使われるだけでなく、損害賠償請求にも使われます。
再三にわたるクレジットカード会社からの督促に応じない場合は、最終手段として給与や預貯金などの財産の差し押さえが行われます。
給与の差し押さえは、給与やボーナスの一部が差し押さえの対象となり、未払い額と執行費用が回収できるまで継続されます。
金銭的に苦しくなるだけでなく、社会的信用も失うため、クレジットカードの支払いは滞納するべきではありません。
クレジットカードで買い物した支払いやキャッシングは時効援用の手続きが可能です。
つまり、時効になれば、支払い義務がなくなるわけですが、そのためにはいくつかの条件があります。
ここでは、クレジットカードの支払いを時効成立の条件について紹介します。
クレジットカード会社はもちろん、消費者金融・カードローンなど金融会社から借金をした場合、最終の返済日から5年間返済しないままでいると時効が認められます。
時効を狙うのであれば、まずは返済をやめてしまうことです。
口座引き落としにしている方は、振替やATMからの返済に変更する必要があります。口座振替のままにしておく場合は、預貯金と支払い口座を兼用してはいけません。
万が一、口座を凍結されてしまうと預貯金から相殺される恐れがあるからです。
以上の手続きをしなければならないため、5年間にわたり一切の返済を止めるのは簡単ではありません。
クレジットカード会社からも返済に向けてのさまざまなアクションがあり、生活が不便になったり、精神的に追い詰められたりする可能性も覚悟しておきましょう。
時効が中断されると、これまで返済の支払いを止めていた5年間がリセットされ、再び振り出しに戻されます。中断理由としてはいくつかあるため、詳しく紹介します。
時効を狙うとは、クレジットカードの支払いを踏み倒すのと同じ意味です。借金の存在を認めると、債務承認したとみなされ、5年間がリセットされます。そのため、以下のような発言には注意が必要です。
クレジットカード会社から容易な返済プランを提示されたり、「1円でもいいから払って欲しい」と言ってきたりしますが、決して応じてはいけません。
少しでも返済の意思を示すと、5年間はリセットされると覚えておきましょう。
内容証明郵便のように配達記録が残る郵便を受け取ると、時効の中断理由となります。自分宛に届いた郵便を受け取らないのは非常に難しいものがありますが、時効に持ち込みたいのであれば、「借金はしていないので、催促される理由がない」と拒否し続けなければなりません。
しかし、内容証明郵便を受け取らずにいると、クレジットカード会社側に返済を拒否している旨が伝わり、心証を悪くする可能性があります。
本来であればすぐに受け取り、早めの対応をしたいところですが、時効を狙うのといった目的があるため受け取らない方が賢明です。
督促状や催促の電話はもちろん、内容証明郵便も受け取らないとなると、クレジットカード会社側は裁判に踏み切るかもしれません。
裁判所から「特別送達」と記載された郵便が届くと、それは訴状の可能性が高いです。
「特別送達」を無視すると、クレジットカード会社側が一方的に裁判を行い、確実に敗訴します。敗訴すれば裁判所から支払命令が出され、時効も5年から10年に延長されます。
裁判は、裁判所に「公示送達」を掲示するだけで成立してしまうため、債務者が知らないうちに時効の中断といった事態に陥るわけです。
時効期間である5年間が経過していても、債務者が時効援用の手続きをしていなければ時効の完成にはたどりつけません。
時効の援用とは、債権者に書面にて正式に「借金の時効」を申し立てることです。
時効援用の手続きを行っていないと、せっかく時効である5年を経過しても時効の停止や中断を申し受けかねません。
時効を狙うのであれば、起算日を念頭に置いて、時期を逃さないようにしましょう。
時効の5年を経過し、時効援用の手続きをすれば、時効は完成します。しかし、クレジットカードの時効は成し遂げるのが難しいといわれています。
その理由として、5年の経過を待つのは非常に長く、その間ずっとクレジットカードの使用ができなかったり、催促の電話や郵便などで精神的にダメージを受けたりと簡単ではありません。
ここでは、なぜクレジットカードは時効の完成が難しいかについて紹介します。
クレジットカードの支払いが滞ると、まずは文書にて催促の通知がきます。クレジットカード会社によっては、すぐに電話がかかってくるケースも少なくありません。
クレジットカードを契約する際に、自宅・携帯・職場の電話番号を登録をしているはずですから、あらゆる連絡先に連絡がきます。
しかし、滞納したからといっていきなり職場に電話がかかってくるケースはなく、まずは自宅や携帯電話に連絡がきます。
時効を狙うには5年間、クレジットカード会社からの電話を無視し続けなければならないため、職場への電話は避けられません。
頻繁に職場に電話がかかってくるようになれば、上司や同僚に不審がられる立場に絶えられる人は少ないでしょう。
債務者が時効の完成を狙うのと同じく、クレジットカード会社側もなんとかして時効の中断・猶予を試みます。
債務者が督促状や勧告の無視を継続するのであれば、裁判を起こすはずです。
裁判は、債務者が訴状を無視しても起こせるため、簡単に敗訴してしまいます。また、債務者が訴状に応じてなんらかのアクションをしたとしても勝ち目はありません。
結局は時効の完成が10年に引き伸ばされるだけの結果に終わります。
唯一、裁判を起こされない可能性としては、負債額があまりにも少額でクレジットカード会社が裁判費用が無駄だと感じている場合のみです。
クレジットカードの支払いを無視し続け、時効の援用をするにはメリット・デメリットが存在します。ここでは、詳細を解説します。
クレジットカードの支払いを時効にするメリットは、「滞っている支払いをしなくてもいい」に尽きます。
以前は、高金利の貸し付けをしているグレーゾーンの会社も存在しましたが、現在では、どの金融会社でも法的な金利で運営しています。
本来、支払わなければならない借金を踏み倒すメリットは、唯一、多額の借金を支払わなくてもいい点しかありません。
クレジットカードの支払いを滞納し続けるのは、精神的に追い詰められるはずです。「支払いをしたくない」といった気持ち以上に、後ろめたい気持ちに襲われる日もあるかもしれません。
また、電話や郵便にビクビクし続ける生活は、「悪いことをしている」といった気持ちに押し潰されそうになる方も多いのではないでしょうか。
「裁判で時効がリセットされるかも」「ブラックリストに名前が残るのでは」など、心配が絶えず、気持ちが折れそうになるかもしれませんが、時効も諦められないといった気持ちの板挟みはクレジットカードを支払いを滞納するデメリットといえるでしょう。
クレジットカードの支払いに対して時効援用の手続きが滞りなく完了すると、残高がゼロになり、終了状況に「完了」と記載されます。
さらに、信用情報機関に登録された延滞情報が削除され、晴れてまっさらの状態になるわけです。
しかし、それまでの道のりは遠く、失敗する例も少なくありません。ここでは、クレジットカードの時効援用の失敗例を紹介します。
時効の起算日は、最終的にクレジットカードの支払いをした日の翌日です。間違いやすいのは、「クレジットカードで最後に買い物をした日」と「最後に利用代金が口座から引き落とされた日」です。
自分で時効援用の手続きをすると、起算日を間違えてしまうケースが多く見られます。
手続きが早まると、借金を認めることになり、督促が始まったり、裁判に持ち越されたりする可能性が高まります。
時効援用の手続きをする際は、起算日をしっかり確認する必要があるため、督促状に書かれている日付を確認してください。不安な方は弁護士に相談するのがおすすめです。
起算日の間違いと同様、時効満了日を間違えるケースも少なくありません。満了日以前に時効援用の手続きをしてしまうと、債務者からわざわざ負債の申し出をしているようなものです。
時効援用の手続きをきっかけに、再び督促が始まったり、訴状を送られたりする場合があります。
時効援用の手続きは、日付の確認がいかに大切で、間違いやすいポイントだと分かるのではないでしょうか。
確信が持てない場合は、専門知識を持っている弁護士や司法書士に依頼するのが適切です。
「明日までに10万円支払え」との勧告には応じられなくても「明日までに1,000円支払え」と言われれば応じられなくもないと感じる方は多いはずです。
クレジットカード会社は債務の承認を得るために、かなり少額の返済を申し付けてくる場合があります。
今日までさまざまな督促に疲れていると、つい少額の返済に応じてしまうケースも少なくありません。1,000円でも支払ってしまうと、時効の中断につながります。
時効援用の手続きなくして、時効の完成はありえません。例えば、債務者が時効の日程を理解しており、すでに時効を迎えていると認識しているとします。
債務者にとっては時効になっているのだから「クレジットカード会社から督促があっても大丈夫」と思いたいところではないでしょうか。
しかし、時効援用の手続きを完了していないのに、督促の電話に応じると時効は延長されてしまいます。時効の完成は、あくまでも時効援用の手続きありきです。
債務者が時効援用の手続きの存在を知らずに時効を待つのは意味がありません。
代表弁護士:田中 健太郎 先生
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