~消滅時効の援用で失敗しないために知っておきたいこと~
賃貸物件を借りた場合、当然のことながら毎月の家賃が発生します。
しかし、病気や事故など不慮の事態で家賃が払えなくなったらどうなるか不安に思っている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、賃貸物件の家賃を滞納してしまった場合、どのような事態になるのか、また家賃の支払いに時効はあるのかについて紹介します。
賃貸物件の家賃滞納は強制退去につながる危険な行為です。
ここでは、家賃の滞納をするとどのようになるか段階を追って紹介します。
家賃の支払いが予定日を過ぎると、貸主から電話や訪問による督促を受けます。
長期の滞納ではないので、貸主側も「うっかり忘れたのかもしれない」と穏便に済ませようと心掛けながらの督促になるでしょう。
督促は滞納が確認された翌日の場合もあれば、1週間程度猶予を持たせる場合など、貸主や管理会社によってさまざまです。
滞納が発覚し電話や訪問による督促に応じず、2週間程度経過すると「内容証明」の発送と連帯保証人への連絡が実施されます。
連帯保証人に連絡されると、両親・親戚・会社の方に家賃滞納がバレるため、2週間以内に貸主に連絡を取り、速やかに支払いをするか、支払いの猶予を申し出るかなどのアクションが必要です。
数回に及ぶ督促状を無視し、滞納を続けて3ヶ月ほど経過すると、賃貸借契約書解除のための催告書が内容証明郵便で届きます。
催告書も放置すると次は法的措置として、建物の明け渡しを申し渡され、家賃の一括請求に至ります。つまり、家賃滞納の場合、3ヶ月が最終通告の期限と理解しておきましょう。
家賃の滞納には時効があり、借主が支払いを拒み続けて一定の時期を超えてしまうと貸主は家賃の請求ができません。
ここでは、家賃の時効が成立する条件について紹介します。
家賃の時効は、各支払期から起算し、5年経過したものから時効を迎えます。
ここで注意したいのは5年が経過したからといって滞納している家賃すべてが一度に時効になるのではなく、一番古いものから順に時効になります。
つまり、貸主は家賃の支払日の翌日から5年経過していないものに関しては、引き続き請求が可能です。
家賃のように毎月決まった額を支払うといった取り決めがある場合、それは貸主の定期給付債権となります。
貸主は定期給付債権を使って権利を行使できるため、借主が支払いに応じない場合は、差し押さえや強制退去などの法的手段が使えます。
しかし、貸主が5年間、定期給付債権を行使せず、家賃請求も行っていないと消滅時効が成立する可能性が高くなるわけです。
借主が5年間家賃を滞納し続け、さらに貸主も定期給付債権を行使しないまま5年が経過すると時効を迎えます。
しかし、時効の日を迎えたとしても時効援用の手続きをしなければ時効は完成しません。
借主が時効援用の手続きのための書類を貸主に内容証明郵便として送付し、家賃が時効を迎えたと主張して初めて時効の完成となるわけです。
時効援用の手続きをしないまま放置すると、例え5年が経過していたとしても、再度督促が始まったり、裁判を起こされる可能性があります。
貸主が何度も家賃の支払いを請求しても、借主が一向に対応しないケースも少なくありません。
貸主がそのまま何もアクションを起こさずに5年が経過すると、時効が完成します。
ここでは、貸主によって時効が阻止されるケースを紹介します。
家賃の督促を無視し続けていると、貸主が時効の完成を阻止するために行うのは訴訟や調停です。
裁判所を介して請求されると時効は中断され、時効はさらに10年先延ばしになります。
貸主がすぐに訴訟や調停に持ち込めない場合でも、内容証明郵便が届くと時効は6ヶ月先延ばしになり、さらにその間に裁判になれば、時効はそれ以降10年後となるわけです。
家賃を滞納している借主が「来月は払います」「〇〇日までに払います」など支払いに応じる発言をすれば、支払い義務を認めたとみなされます。
これを「債権承認」といい、時効は5年延期されます。
しかし、その日から再度5年間滞納すれば時効は完成し、時効援用の手続きをすれば家賃の支払い義務は消滅します。
時効の完成を迎える前に、貸主が裁判所の許可を得て、財産の差し押さえを行う場合があります。
一般的には給与の4分の1が差し押さえられるわけですが、借主にとって痛手となるのは差し押さえによって家賃滞納が職場にバレてしまうところではないでしょうか。
給与以外では、車や家財道具が差し押さえられるケースもあり、請求金額に達するまで差し押さえは繰り返されます。
ただし、借主は差し押さえに対して不服申し立てをし、差し押さえの中止や変更を申し出ることも可能です。
滞納状態が続いている家賃は、法律により減免や免除をする債務整理が可能です。
債務整理には、任意整理・個人再生・自己破産の3種類があります。
裁判所を介さず、貸主に直接交渉して支払いの減額をする手続きです。
減額できる幅は少ないかもしれませんが、自分の財産を失わずに今後の返済プランを話し合いによって決定できます。
裁判所を介して借金の減額と、今後の返済プランを立てます。
手続きには専門家に依頼しなければなりませんが、減額の幅が大きくなります。
裁判所の許可を得て借金免除のための手続きをするのが自己破産です。
換金できる資産はすべて没収となり、借主のものとなります。家賃の滞納に加えて、他にも借金がある場合に行われる処置です
。代表弁護士:田中 健太郎 先生
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