~消滅時効の援用で失敗しないために知っておきたいこと~
消費者金融だけではなく、個人間の借金にも消滅時効があるため個人間でも時効の援用は適用されます。消滅時効は民法第166条によって明確に定められたものです。
法務省は消滅時効について、意義を2点述べています。
債権者は借金回収の権利を持っています。行使せず放置するなら、権利を消滅させるという考え方が土台にあるのです。
個人間の借金の時効が成立する期間は5年もしくは10年です。これは民法改正前後で異なります。
民法改正があった2020年3月31日以前に親族や友人間で借金をした場合、時効成立は10年です。しかし2020年4月1日以降に個人間で借金した場合は、民法改正によって時効が原則5年に変更されています。どのタイミングで借金をしたかによって、消滅時効の満了期間が変わるため注意が必要です。
また民法改正後である2020年4月1日以降の借金の時効期間は、2つの条件のうち早いほうが適用されます。
「権利を行使することができることを知ったとき」とは、返済期日が来て、返済の請求ができるようになった翌日を指します。しかし返済期日を設けるのは多くが貸金業者などであり、個人間で返済期日を設けることは少ないでしょう。その場合の時効期間は、お金の貸し借りが行われた日から10年となります。
全額でなくとも、時効が成立する前に返済した場合は返済する意思があるとみなされて時効はリセットされます。また債権者が内容証明郵便や書面、口頭などの手段で借金の返済を請求した場合、時効のカウントは6ヶ月停止します。
借金の時効は、返済期日が決まっている場合と決まっていない場合で異なります。返済期日が決まっているのであれば、期日の前後に関わらず最後の返済日の翌日からカウントを開始します。たとえば4月1日を返済期日にした場合、4月2日からカウントするのです。
個人間の場合、返済期日を明確に決めていないことも多いでしょう。その場合はお金を借りた日や、最後に返済をした日からカウントを始めます。借金の時効が1日でも違っていた場合は時効の援用が成立しないため、いつからカウントが始まるのか確認が必要です。
また無条件でカウントが進むわけではありません。条件次第ではカウントが中断される場合があります。中断する条件を知らなければ、時効の援用を主張しても認められない場合もあるため注意しましょう。
借金の消滅時効の成立は、時効期間の満了が求められます。ただし満了しただけでは認められません。借主である債務者は、法的手続きに基づいて貸主の債権者に時効の援用という意思表示を行う必要があります。
時効の援用とは「消滅時効が過ぎた。だから借金はもう返済しない」という手続きのことです。時効援用通知書を作成し、債権者に内容証明郵便で送ります。口頭でも適用はされますが争いになるリスクが高いため、証明できる書類を残すことが無難でしょう。
個人間の借金の消滅時効は、時効の援用という制度があっても簡単ではありません。民法では2つの制度が決められており、債権者は制度を活用することで時効のカウントをリセットできます。
ひとつは時効の更新です。民法改正前は時効の中断と呼ばれていました。
債権者が3つのうちひとつでも行えば、時効のカウントはリセットされます。裁判上の請求とは、裁判所を通して支払督促を通知するなど「債権者が裁判所を通じて借金の返還請求をする」行為を指します。
裁判をして差し押さえをしても時効は中断しますし、債務者が返済期限を過ぎて1円でも返済したり、返済を待って欲しいと伝えるだけでも、返済意思があるとしてカウントは中断されるのです。
2つの借金の大きな違いは貸金業法の適用の有無です。個人間の借金には貸金業法が適用されないため、債権者が厳しい取り立てをする可能性があります。
借金が返済できず債務者が債務整理手続きを行った場合、貸金業者は取り立てすることができません。しかし個人は貸金業者とは異なるため、取り立てをしても違法にはならないのです。
また自己破産の免責が決定した後は、貸金業者に対して返済をしなくても問題ありません。破産法275条によって、貸金業者が自己破産の認められた免責決定者に対して返済を求めた場合には、3年以下の懲役または300万円の罰金とその両方が科せられると定められているためです。しかし個人間では自己破産の免責が決まっても返済が可能なため、自己破産をした場合でも債務者の意思次第で返済できます。
ただし個人の場合でも、債権者が債務者に対して支払いを強要・恐喝した場合は罰せられます。あくまで債務者の自由意志である、という点に留意しましょう。
民事訴訟法における訴えの提起のことです。時効の更新を主張するもの、つまり債権者が行う訴えの提起を指します。ただし訴訟は給付訴訟以外にも、確認訴訟や形成訴訟、反訴や再訴も裁判上の請求にあたります。
借金を滞納した者が、裁判所によって給与を含めた財産を強制的に回収されることを差し押さえと呼びます。差し押さえを受けると債務者は財産を自由に処分できず、第三者に譲ることもできません。債権者は財産を取り立てることで、借金を回収することができます。
以下のページでは差し押さえについて詳しく解説をしています。
裁判外の請求とは裁判を通さずに返還請求をすることです。裁判所を通さなくても、内容証明郵便や督促状を送ることで時効を一時的に中断できます。ただし効果は6ヶ月の間であり、1度しか使用できません。6ヶ月以内に裁判所へ訴訟手続きを行わなければ時効は再度進行します。
催告は口頭でも成立しますが、電話やFAXでは記録が残りにくいため催告したかどうか明確ではありません。督促した証明をするために、内容証明郵便で届くことが多いでしょう。
代表弁護士:田中 健太郎 先生
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