~消滅時効の援用で失敗しないために知っておきたいこと~
仮執行宣言とは、裁判の確定前に裁判所が強制執行を認める制度です。日本では、原則裁判が確定しなければ強制執行ができないとされていますが、裁判の第一審で納得できない場合には控訴して第二審に、第二審で納得できなければ上告して第三審に進める三審制が採用されています。
判決が出るまでにはかなりの時間を要するため、判決が確定する前に強制執行の権利を得られる制度です。
借金を返してもらうために、債権者が簡易裁判所書記官に申し立てるのが支払督促です。支払督促は訴訟に比べて簡易的な手続きで済む、また、オンライン化も導入されたことから、借金の回収方法として広く利用されるようになっています。
支払い督促の申し立てを受けた裁判所書記官は、問題がなければ支払督促を債務者に送ります。
支払督促には、債務者に支払督促が届いてから2週間の督促異議申述期間が設けられており、異議を出すことができます。
受け取った債務者が支払督促に対して異議を申し立てると、通常の訴訟へと移行します。
督促異議申述期間に債務者からの異議が出なかった場合、債権者は裁判所に「仮執行宣言の申立」を行えるようになります。仮執行宣言の申立を受けた裁判所は、仮執行宣言付支払督促をあらためて債務者に送達します。
仮執行宣言付支払督促が届くと、債権者はすぐに強制執行に着手できるようになります。強制執行を避けるためには、仮執行宣言が付く前の支払督促の段階で対処することが大切です。
借金を全額完済すれば問題が解決したと見なされますから、強制執行になることはありません。しかし、仮執行宣言付支払督促が届くような状況の場合、多くがすでに借金を支払えない状態になっていることでしょう。
支払督促が届いたとしても、異議申述期間中に異議申し立てをすると、通常の訴訟手続きに移行します。
異議申立の理由として「借金が時効を迎えている」「支払督促の借金に身に覚えがない」「すぐに支払するのが難しい」「分割払いであれば支払える」といったことが挙げられます。
通常訴訟に移行すると、あらたに訴訟のスケジュールが設けられます。約1か月~1か月半の時間的余裕が生まれるため、すぐさま強制執行されることを回避できるようになります。
自己破産とは、裁判所で破産手続きを行って税金や公的費用以外の借金返済を免除してもらう方法です。利息や遅延損害金だけでなく元金の返済もしなくて済みますが、手持ちの不動産や車など、財産の大半は差し押さえられることになります。
個人再生は、裁判所にこれ以上の借金返済が難しいことを認めてもらうための手続きです。
借金の額を5分の1~10分の1に減額することができます。住宅ローンの支払は続けられるため、マイホームを差し押さえられることなく借金を返済していけます。
裁判所を介さず債権者と直接交渉し、利息や遅延損害金をカットしてもらう方法です。3年~5年かけて返済していく必要がありますが、現状よりも返済負担を大きく減らすことができます。
借金には、法律で定められた時効期間があります。借金の支払いを一切しておらず、なおかつ債権者に借金があることを認めなければ時効の援用で返済義務をなくすことができます。
ただし、ある程度の法的知識やノウハウを用いた手続きが必要です。支払督促の借金に時効の援用が適用できるか、まずは専門家に相談するようにしましょう。
利息制限法の上限を超えて課されていた利息分を債権者に返還してもらうように請求する手続きです。
過払い金の請求は、過去の借金とは別問題として正当な権利として認められているので、借り入れと返済を繰り返していた場合は過払い金の請求ができる可能性があります。ただし、過払い金の請求にも時効があるので、一度専門家に相談してみてください。
強制執行で差し押さえられる財産は、以下の通りです。
債権者が土地や建物などの不動産を所有している場合、不動産が差し押さえの対象になります。不動産執行によって自宅が差し押さえられてしまうと、当然、住む場所を失ってしまうおそれがあります。
債務者が有している債権も差し押さえの対象です。債権の具体例として、会社から支払われる給与債権や銀行に預けている預金債権などが挙げられます。
給料については一定範囲が差し押さえ禁止となっていますが、それ以外の部分であれば差し押さえ可能です。
差押禁止動産を除き、債権者が所有する車や宝石、貴金属などの動産も差し押さえの対象となります。ただし、一定以上の価値のあるものでなければ差し押さえはされません。
財産の中には、強制執行で差し押さえることができないものもあります。たとえば、債務者の生活に欠かせない衣服や寝具、家具・家電など、仏像・位牌などの宗教に関するもの、仕事や学習に必要な器具や書類などは差押えされることはありません。
また、債権者の生活のために支給されている公的給付についても差押えが禁止されています。
給料や賞与などの債権のうち、差し押さえの対象になるのは4分の1相当で、4分の3は差押禁止です。ただし、給料などが44万円を超える場合、33万円を超える部分が差し押さえの対象となります。
強制執行の申立の際には、債権者側で差し押さえの対象となる財産を特定したうえで申し立てを行わなくてはなりません。そのため、債権者が差し押さえ対象財産を特定できなかった場合やそもそも差し押さえる財産がなかった場合、差し押さえがなされることはありません。
代表弁護士:田中 健太郎 先生
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