~消滅時効の援用で失敗しないために知っておきたいこと~
CICは、日本の信用情報機関です。日本の信用情報機関は「CIC」のほかに「JICC」「KSC」の計3機関があり、「個人のローン」「クレジット利用履歴」「返済の状況」「債務整理の情報」など、信用情報の登録と管理をしています。
クレジットカード会社や信販会社などが加盟しており、これら3機関の信用情報から融資相手に返済能力があるか確認しています。そのため、CICの信用情報は大きな意味を持っています。
CICに登録される情報のひとつで、銀行や貸金業者からお金を借りたものの長期間、返済を延滞していると「異動」と登録される仕組みです。
異動は「返済できなかった事実」であり、ブラックリストに相当します。登録の目安は61日~3ヶ月間。少なくとも2ヶ月間引き落としが確認できなければブラックリスト扱いとなり、生活が不便が生じる可能性があります。
異動とはいわゆる「ブラックリスト」です。貸主はCICを参照し、返済の長期延滞や債務整理情報といった情報があると、「返済はむずかしい」と判断。ほとんどの場合、クレジットカードの使用・新規作成は不可、ローンも利用できず信用がない状態として扱われます。
クレジットカードを使用できても、分割支払いができなくなる場合があります。自動車やスマホ、パソコン、家電などの支払いで分割払いができません。
住居を借りる場合では保証会社が使えないため、保証人を用意するか保証金不要の物件を探すしかありません。つまり望んでも住める住居が限られてくるのです。
また、CICは他信用情報機関と異動情報を共有しています。CICに加盟していなくても、登録された事故情報は確認可能。住宅建築や子どもの教育に関するローンも、利用はかなり難しいと考えたほうがいいでしょう。
「延滞しても他に数枚カードがあるから大丈夫。実際現在も使えているし」といっても油断禁物です。異動の登録は他のクレジットカードにも影響を与えます。各カード会社はカード更新時に信用情報の確認をする以外に「途上与信」という個人情報の確認をしています。毎日、信用情報を確認しているわけではないですが、いずれ途上与信やカード更新があるため、遅かれ早かれ確認される日は訪れます。
異動情報が記載されると延滞していないカード会社でも利用停止や強制解約をする可能性があります。強制解約になればその記録もカード会社やCICの信用情報に登録されるので、「新しくカードを作りたい」「ローンを利用したい」という希望は通らなくなります。
CICの場合、保証会社が債務者の代わりに返済した場合を含め、延滞、自己破産情報もすべて異動と記載されます。ただし、延滞、強制解約、自己破産により異動情報を登録された場合、5年間で消えます。
情報が残る期間は、事故情報の内容と情報機関によりさまざまです。一旦異動情報が登録されれば、最低5年間はクレジットカードやローンも利用できないことは、覚悟したほうがいいでしょう。
すべての返済が終わり、CICが金融機関や貸金業者に異動の消去や変更依頼をした場合、確認の目安は2ヶ月間です。貸金業者は異動情報の修正の依頼を受けても、即座に対応しないところもある一方、月に1度は信用情報機関の情報変更通知を確認しているところもあります。そのため2ヶ月を目安にすると良いでしょう。2ヶ月間待ったら、自ら信用情報の開示請求をしてください。CIC事業所の窓口や郵送、WEB上で閲覧する方法で確認可能で、費用は窓口・WEB上で閲覧するなら500円、郵送なら1,500円程度かかります。
時効の援用は、異動情報を消す方法のひとつです。時効の援用をすると支払義務が消え借金を返済したのと同じ状態になります。CICでは時効の援用があると、終了状況欄に「完了」と登録され、信用回復によりレジットカードやローンを再び利用できるようになります。
ただ、「完了」以外に「貸倒」という情報を登録するケースがあります。完了ではなく貸倒だと、借金が消えたのと同じ扱いでも、金融機関はいい印象を持ちません。新しく借り入れをしたくても断られるリスクは残ります。
また、時効の援用の成立には条件があり、最終返済日の翌日から5年以上経過、債務があると承認していない、裁判を起こされていないなどが挙げられます。高いハードルを越えなければならないだけでなく、完全な信用回復には至らないこともあるのです。
借金を完済して、5年経過すれば異動情報は消えます。クレジットカード、ローン利用不可、、ヤミ金しか頼るところがない状態はかなり厳しいもの。大きな買い物は控え、素直に完済して時間が経過するのを待つ方が堅実です。
完済したいけれど資金不足、時効も成立しておらずどうしようもできない状況なら、債務整理を検討しましょう。
債務整理をして5年経過すれば異動情報は消えます。
ただ、個人での対応はむずかしいため、債務整理に詳しい弁護士に相談したほうが良いでしょう。債務整理には次の3つの方法があります。
債権者と交渉して利息分をカットしてもらう方法です。そのうえで分割回数を増やし、月々支払う返済額を調整します。
裁判所を通じて借金を減額する方法。ただし、保証人・連帯保証人に返済義務が移るほか、官報に記載される・手続きが煩雑・費用が高いといったデメリットがあります。
破産手続きをしては借金を免除してもらう方法です。信用保証機関には「事故」として記載され、5~10年はローン組みや新規クレジットカードの作成はできません。必要最低限を除いた財産は処分されます。保証人・連帯保証人に返済義務が移るので、多大な迷惑をかけてしまいます。
過払い金があるなら、請求手続きをして戻ってきた払戻金で異動情報消去を早められるかもしれません。2008年以前から、クレジットカードのキャッシング、消費者金融を利用していたような方が対象です。過払い金の有無は個人でも調査可能ですが、弁護士を通す方法もあります。
時効の援用は異動情報を消すために有効です。ただ、成立させるには高いハードルをクリアしなければなりません。
貸金業者や金融機関からお金を借りて返済したとします。最後に返済した日の翌日から5年間、返済をしていないなら時効成立の可能性が高いです。CICの場合、開示書類にある最新支払日欄で確認可能です。
最新支払日の日付をチェックし、その翌日から5年過ぎていると時効が成立しており、時効の援用が成功する可能性があります。
債務承認とは借金があるのを認める意思表示です。最終返済日翌日から5年が過ぎても、債務承認をしていたら時効の援用は成立しません。口頭や書面でも「返済します」と伝えた「借金の一部を支払った」ケースでも債務承認は成立します。
「もう少し待ってもらえませんか?」という言葉だけでも、債務承認と判断されかねません。お願いや返済計画だけでも債務承認になるのです。借金返済のために債権者と交渉するのはおすすめできません。交渉の中で債務承認を、気づかずにしていたことになりかねないからです。
個人の融資でも法律的知識がある相手なら言質を取られるリスクはあります。音声データや書面を残されていたら厳しい立場に立たされるでしょう。
最終仕払日の翌日から5年経過し、債務承認もしていない、「時効だから問題なし」とはなりません。時効の援用は主張しないと効力がなく、裁判を起こされた時点で時効が更新されます。つまりリセットとなります。訴訟以外に支払督促も同様です。
「訴訟なんてされた記憶がない」その場合、債権者が公示送達という手続きを利用していた可能性があります。公示送達とは裁判所に裁判所情報を貼り付けると、訴状を送達したとみなされる内容です。債務者も知らないうちに判決が出るケースがあります。
時効の成立条件を満たしていないため、時効の援用を通知して失敗するケースもあります。債権者の回収も厳しいものになりかねません。基本的に、時効の援用は弁護士に相談しましょう。
借金問題を個人で解決するのはむずかしい場合が多いもの。特に法律的な専門知識がないと、債権者もまともに取り合ってくれない可能性も高いでしょう。クレジットカードもローンも利用できなくなり、生活が厳しい状況になることも多いです。時効の援用も失敗すれば目も当てられません。借金問題は弁護士のような法律の専門家に相談することをおすすめします。
代表弁護士:田中 健太郎 先生
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