~消滅時効の援用で失敗しないために知っておきたいこと~
一般的に、督促状が送られて来て、2ヶ月以上放置すると一括請求が届きます。通知を放置すると追い詰められるだけ。貸金業者は「払えるときに払って」というほどやさしくありません。一括請求は分割払いではもう許さないという貸金業からのメッセージと考えてください。
例えば、通常、貸金業からお金を50万円借りて、毎月2万円返済するという契約とします。債務者は毎月2万円返済し続けていれば、元金の一括請求があっても「期限の利益」という権利によって拒めます。
ただ、多くの場合、契約の中には返済の延滞があると「期限の利益を喪失する」という規定があるのです。金融業者からの通知の中には、期限の利益を喪失させるという内容も含まれています。結果、延滞分は元金以外にも、利息や遅延損害金の支払いを一括請求されるのです。
※参照元:民法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)
一般的な借金の一括請求にまでなる流れは下記のとおりです。
※参照元:債務整理相談 弁護士ほっとライン
(https://saimubengo-line.com/credit-card-seikyu/)
督促の電話がないケースもあります。いきなり督促状が届く、あるいは催告状もなく、一括請求がされるケースもあるのです。その点は貸金業者により対応は変わります。
ただ、督促や催告状を無視し続けると一括請求になるわけです。支払いについて返答や一部でも返済すれば催告状や一括請求を遅らせられるため、無視し続けるのはリスクが大きいと言えます。
借金の一括請求によって、給料や財産が差し押さえられる可能性があります。
滞納が数日から1週間になると、貸金業者から新しく借入はできません。滞納しているのがクレジットカード支払いの場合だと、使用できなくなります。
督促状が届くと遅延損害金が発生します。遅延損害金が発生することで、借金の額が大きくなるのです。とくに元金が多ければ、滞納日数が長期にわたると手に負えなくなります。遅延損害金の計算は、元金×年率÷365日×滞納した日数です。
※参照元:弁護士法人ひばり法律事務所
(https://hibari-law.net/column/?p=406)
2ヶ月から3ヶ月経過するとブラックリスト入りです。信用情報機関に事故情報として1年~5年登録されます。ブラックリストに入った状態だと、滞納している貸金業者以外の他社からも借入はできません。クレジットカードも使えなくなるのです。当然、新規でクレジットカードを申し込んでも審査に通るのは厳しいでしょう。ブラックリストは「返済を滞納して信用できない」という烙印を押されたのと同じです。
※参照元:弁護士法人アディーレ法律事務所
(https://www.adire.jp/lega-life-lab/blacklist570/)
裁判所から訴状や支払督促が届きます。届いたのが訴状だと、指定期日に出向かなければなりません。支払督促だけなら裁判所に行かなくてもいいですが、2週間以内の異議申し立てが必要です。異議申し立てをしないと差し押さえが待っています。
※参照元:裁判所
(https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_04_02_15/index.html)
裁判所から書類が届いたら、家族にも見られる可能性があり、借金がばれる可能性もあるでしょう。
裁判所に出廷しない、答弁書も提出しないと判決が出ます。貸金業者は裁判所から判決というお墨付きをもらった状態です。法的にも強制執行手続きが許されます。強制執行ができるようになると、給与や財産を差し押さえられるのです。
強制執行は避けられません。最低限の生活保障は必要なため給与全部が差し押さえられることはないです。ただお金がほとんどなくなれば生活が厳しくなるのは当然ですし、会社にもばれれば社会的信用は失われます。
借金の返済を滞納しないのが基本です。貸金業者は返済をされれば督促も催告状も送ってきません。支払いを忘れた程度で、返済が少し遅れる程度でも、貸金業者に相談をして支払いをすれば厳しい態度を取られないのです。一括請求やブラックリストにも入りません。
問題は滞納を繰り返すことです。2ヶ月以上滞納すれば「元金分も回収できないかもしれない」と判断して厳しい態度になります。
借金の返済が厳しくなったら債務整理が有効です。一括請求前に債務整理をすれば、無理のない返済ができます。任意整理や個人再生、自己破産から選べます。借金の金額や返済能力に基づいて選択してください。
任意整理は裁判所を通さず、直接貸金業者と交渉します。利息や遅延損害金の免除、月々の支払額を減らすという方法です。ただ、元金の全額返済は求められます。それでも、利息や遅延損が基金の負担が軽くなれば負担は多く減少するでしょう。
注意点は貸金業者と交渉といっても、法律的知識がないと相手にしてくれません。弁護士のような法律のプロの力を借りたほうが無難です。
個人再生は裁判所を介した手続きです。メリットは借金を大きく減らせる点で、持ち家や自動車が合っても残せる可能性があります。借金の目的がギャンブルや浪費であってもかまいません。
ただし、貸し手と借り手の間には裁判所が入ります。貸金業者と合意した返済計画でも滞納をすれば、催告状もなく強制執行されるリスクが高いです。
自己破産は借金の全額免除ができます。合法的に借金を0にできるのが大きなメリットです。一括請求をされている状態でも認められます。ただ、財産を処分されて返済に回されるなどのデメリットも多いです。職業の制限もありますし、無条件にできるとは限りません。裁判所に自己破産を認めてもらうには条件をクリアしなければならないからです。
また、ギャンブルや浪費による借金だと原則として破産できない点には注意してください。
最後に返済したのが5年以上前なら、時効の援用が成立する可能性が出てきます。借金にも時効があり、成立すると返済をしなくても済む制度です。
時効の援用が成立するのは、単に最後に返済してから5年経過しただけでは認められません。最後に返済してから5年以上経過してから、時効の援用の手続きを求められます。「消滅時効の制度を利用します」と貸金業者といった債権者に主張して初めて成立するのです。
手続きは時効援用通知書という書類を作成します。差出人や宛先、受取日や送付内容など証拠を残すために内容証明郵便で債権者に送付する流れです。「最後に返済して5年以上経過したから時効」というように、債務者が勝手に判断できません。手続きをしなければ時効の援用は成立しないのです。
時効の援用を行うには3つの方法があります。
時効の援用は「最後の返済から5年以上経過し、時効の援用の手続きをすればOK」とい単純に考えがちですが、甘くありません。時効の援用が成立するのは厳しいハードルがあるからです。時効の援用にはカウントがリセットされる条件があります。
最後の返済から時効の援用はカウントされるのですが、理由次第で0から再び数え直されるというものです。たとえば、債権者から訴訟を起こされて、請求や支払督促、判決が出れば、その時点で時効の援用までのカウントはリセットされます。
債権者から差し押さえを受けても、カウントはリセットされるのです。債務者によって債務の承認があるとその時点でカウントはリセットされます。そのため忘れていた借金を思い出して貸金業者に連絡を取り「返済します」という言質を取られたらその時点でリセットです。
返済金額も関係ありません。極端な話として、1円でも貸金業者に返済したとします。その時点で「借金がある」と認めることになるのです。そのため時効の援用までのカウントは0に戻ります。当然、貸金業者には「この人は借金を全額返済できていない」と知ることになるのです。当然、取り立てがはじまります。また、貸金業者のような貸し手が裁判上の請求や支払督促をしており、権利が確定した状況だと時効期間が5年から10年に伸びていることも無視できません。その点は勘違いしやすいため注意が必要です。どちらにしても、時効の援用を成立させるには高いハードルのクリアが求められます。
代表弁護士:田中 健太郎 先生
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