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気を付けたい失敗事例

時効の援用で気を付けるべき失敗事例

借金の返済義務を無くすことができる手続きを「時効援用」と言いますが、条件を満たしていなかったことで失敗するケースが少なくありません。参考のために、ありがちな失敗例を紹介します。

目次

時効の援用で親身に対応してくれる
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借金の時効援用失敗事例~注意したい時効の中断について~

参考までに、具体的な時効援用の失敗ケースをご紹介します。

いずれも、失敗の原因は「時効の条件を満たしている」と早とちりしてしまったこと

安易な判断は大けがのもとになります。くれぐれも事前調査を入念に行うことをおすすめします。

裁判所からの支払督促を放置し失敗した事例

借金滞納の間に何度も引越しをした人が、時効援用を成立させようと自分で作った書類を金融業者に送ったケースです。業者から「時効は成立していない」という書面が届いたため、調べてみると時効前に裁判所から実家に支払督促が届いていたことが発覚。

その後も異議申立をしなかった結果、債権者の主張が通り、時効期間が10年延長されてしまいました。

時効の中断になる方法を知っておこう

消滅時効の主張は債務者の権利ですが、債権者側には消滅時効を中断する権利があります。

債権者が裁判所を介して時効中断を申し立てると、時効期間が振り出しに戻ります。支払い催促や和解・調停の申し立てにより、訴訟や支払い催告の措置が行われた際にも時効中断が成立する場合があります。

時効の援用で「借金をなかったことにしたい」と思っても、債権者の権利を知らずに安易に行動するのは早計です。時効の援用が阻止されるケースは往々にしてあると考え、慎重に手続きを踏むことが大切です。

催告書の通知では時効は中断されない

自宅に催告書が届き、時効が中断されたと勘違いするケースがあります。催告書は裁判所が介入していない書類のため、法的効力はありません。催告書が届いたからといって、時効が中断されたとは限らない点に注意が必要です。

催告書の内容にある返済を少しでもしてしまうと、その時点で時効が中断します。催告書は借金回収のほかに、債務者に自らの債務を認めさせる、つまり時効を中断させる狙いがあると知っておきましょう。

催告書が届いてもすぐには支払わず、まずは弁護士に相談することが賢明です。

時効の中断(時効がリセットされるケース)を調べずに書類を送り失敗した事例

債務者が自力で時効の援用をしようと消費者金融に書類を送ったところ、逆に消費者金融側から350万円の請求を受けてしまった事例です。

司法書士があらためて調べたところ、時効期間が成立するにはあと3ヶ月必要だったことが分かりました。時効の起算日を自分の記憶で感覚的に数えていたことが原因です。

時効が成立していない状態だと、時効が消滅するどころか債権者に時効中断を主張されて、時効期間が延長されてしまいます。まれに時効成立前の援用が認められるケースはありますが、債権者側は債務者以上に時効援用について熟知しています。

時効の援用を行う際には、時効期間の満了を迎えているか、債権者に時効中断の申し立てが行われていないかを事前に確認してから手続きを取るようにしてください。

未返済分の借金を認めて失敗してしまった事例

催告書の通知以外にも、未返済分の借金を認めてしまい時効が中断されたケースがあります。本来、借金の時効は債務者の「身に覚えのない借金」を整理することが本来の目的です。一定期間経過した把握していない借金を自動消滅させることによって債務を整理できるようになります。

よって、借金を返済する行為は債務者が「借金がある」と認めてしまうことになります。未返済の借金を認めた時点で消滅時効の対象にならず、時効が中断されてしまうので注意してください。

債務名義を取られて時効の援用を失敗してしまった事例

債務名義を取られたことにより、時効の援用が失敗してしまった事例です。債務名義とは、債務者の財産を差し押さえできる権利のことで、債務名義には、確定判決・仮執行宣言付き判決・仮執行宣言付き支払い催促・和解調停調書・公正証書などが存在し、全て債権者が債務者の財産に強制執行を加えるためのものとなります。

債務名義を取られると、財産を差し押さえられるだけでなく時効までの期間が10年延長されてしまいます。さらに、時効援用の制度も活用できなくなるため、債務名義を取られたほとんどの人は自己破産や債務整理へと陥ってしまいます。

※参照元:千葉いなげ司法書士・行政書士事務所
https://www.inage-zimusyo.com/syoumetsujikou/syakkin_syoumetsujikou.html

時効の援用が失敗する原因

時効の援用が失敗する主な原因には、以下のようなことが考えられます。

時効が成立していない

そもそも時効が成立していないのに時効の援用を行うと、失敗してしまいます。ほとんどが時効の起算日を間違えて覚えていた、消滅時効期間を正しくカウントできていなかったことが原因です。

時効が成立する前に時効援用を行ってしまうと、時効援用通知書の記載から現在の居住地が債権者側に分かってしまい、債権者の取り立てが再開したり裁判を起こされたりする可能性があります。そうなると時効も中断してしまうので注意が必要です。

債権者からの催告(請求)により時効が延長されていた

債権者からの催告があると、催告が到達した時点から消滅時効期間が6か月間延長されます。催告とは債権者が債務者に借金返済を請求する意思を伝えることで、一般的には配達証明付きの内容証明などで届きます。

催告書が届いた時点で時効が延長されることを「時効の完成猶予」といい、一度のみ認められているので注意しましょう。時効の完成猶予が成立しているにも関わらず、知らずに時効援用を行うと、時効が中断してしまいます。

債権者が裁判上の手続きをしていた

債権者側が以下のような裁判上の手続きを取っていると、時効の完成が猶予される、つまり消滅時効期間が延長されてしまいます。

訴えの提起

債権者が裁判所に訴えを提起すると、時効の完成が猶予されます。債権者側に勝訴判決が出て判決が確定した場合、時効の進行がリセットされてさらにゼロからカウントされます。

これを「時効の更新」といい、その後10年間は時効が完成しません。

債権者側の提起が認められなかった場合、訴えの却下や取り下げがあった場合は時効は更新されることはありませんが、6か月間は時効の完成が猶予されます。

債権者に住所を知られていなかった場合でも、公示送達によって裁判の手続きが進められ、知らないうちに確定判決が出るケースもあるため注意が必要です。

支払督促の申立て

債権者が支払督促を裁判所に申し立てると、時効の完成が猶予されます。仮執行宣言付き支払い督促が債務者に送達された後、2週間以内に債務者が異議申し立てをしなければ、支払督促が確定します。支払督促が確定すると、訴えの提起と同様、時効が更新されて、その後10年間は時効が完成しません。

強制執行の申立て

債権者が裁判所に強制執行を申立てると、時効の完成が猶予されます。申立ての手続きが終了したときに時効が更新されて、10年間は時効が完成しません。

仮差し押さえ・仮処分

訴えの提起に先立ち、債権者が「仮差し押さえ」や「仮処分」を裁判所に申立てた場合、時効の完成が猶予されます。手続きが終了したときから6か月間は時効が成立しません。

債務を承認した

債務者が以下のような理由で借金を認めると、時効が更新されます。ただし、債務の承認は、訴えの提起や支払督促の申立て、強制執行の申立てなどの判決確定による10年間の時効更新とは異なり、時効期間は5年です。

借金を一部返済した

時効期間の進行中や時効成立後に借金の一部を返済する、または利息を支払うと、債務を承認した、つまり「借金があると認めた」と見なされます。時効援用を成立させたいなら、返済を一切やめてから時効期間をカウントしなくてはなりません。

返済期日を約束していた

債権者に対し、「何日までに支払います」などと言うと債務を承認したものと見なされます。返済する意思を伝えることは、そもそも借金があると認めてしまうことになるため注意が必要です。

返済を待ってもらうように伝えていた

債権者に対し、返済を待ってもらうような言い回しを伝えるのもNGです。返済期日の約束と同様、返済する意思があると見なされ、債務を承認することになります。時効援用の可能性を失わないためにも、債権者に対して安易な返答は行わないようにしましょう。

通知書に不備があった

時効援用通知書に不備があると、裁判で時効を主張しても時効援用が認められない可能性があります

そればかりか、時効援用通知書から債権者に現住所が分かってしまい、取り立ての再開や裁判を起こされるケースもあるので注意が必要です。

取り立ての再開や裁判を起こされると、時効の完成猶予や時効の更新につながってしまいます。通知書に不備がないよう、再三にわたってチェックすることが大切です。

時効援用通知書は自力でも作成・送付できますが、なるべく専門家の手を借りて行うようにしましょう。

時効の援用が失敗するとどうなる?

時効援用に失敗した場合、以下のようなことが起こるリスクがあります。

支払い義務が残る

時効援用が失敗して時効が更新されると、借金の支払い義務が残ります。時効援用を考えるほど借金を長期にわたって滞納しているケースでは、債務者から残債務を一括請求されるおそれもあります。

取り立てが再開される

時効援用に失敗すると、債権者からの借金の取り立てが再開されます。時効援用通知書は現住所や連絡先が発覚するリスクがあるため、失敗しないように手続きを進めなくてはなりません。

遅延損害金が高額になる

借金を長期間滞納していると、高額な遅延損害金が発生します。時効援用に失敗すると積み重なった遅延損害金もすべて支払わなくてはならないため、元本のみ返済すれば良いわけではない点に注意してください。

時効の援用が失敗した場合の対応

支払う

基本的には全額支払う必要があります。おそらく時効が成立するほどの期間分、遅延損害金が発生しているため、当初の債務額より大きく膨れ上がっているでしょう。

一括で支払うことが難しい場合には、相手次第ですが分割支払いで対応し、早期完済を目指すこととなります。分割支払い中も遅延損害金が発生することがありますが、頭金を多く入れるなど返済の意思を見せることで、遅延損害金の免除や減額を認めてもらえる可能性があります。

再び支払いを放置すると時効になる?

時効を待つことは不可能ではありませんが、一度住所や連絡先が知られているため、請求は再開します。あまり現実的とは言えないでしょう。多くの場合は自己破産の道を選ぶこととなります。

専門家に債務整理の相談をする

自力で時効援用を行ったために失敗してしまった場合、速やかに弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。時効援用ができなかった場合の対処法について熟知しているため、適切なアドバイスをしてくれます。

取り立て・催促が再開した場合の対応

時効援用が失敗して借金の取り立てが再開しても、支払いを回避できる可能性は残されています。時効援用ができなかった場合、以下のような債務整理で対処するのが一般的です。

任意整理

債権者と交渉して利息をカットしてもらい、返済額を減額する手続きです。任意整理は整理する借金を選べるため、保証人がついている借金を避けることもできます。債務整理の中でもリスクが少ない方法と言えるでしょう。

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これ以上の借金返済が難しいことを、裁判所に認めてもらう手続きです。家や車などの財産を失うことなく大幅な減額が可能で、借金の額を5分の1~10分の1に減額できます。個人再生の手続き後、原則として3~5年程度で返済します。

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裁判所を通して税金や公的費用以外の借金返済を全額免除してもらう方法です。手続き後は借金の返済をする必要がなくなりますが、今持っている家や車などの財産を手放すリスクは高くなります。

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まとめ

時効援用で失敗しないためには、援用の流れと自分の状況を把握しておくことが大事です。

時効援用を失敗している人のほとんどは、この時効について何も知らないというのが共通して挙げられます。

借金をゼロにするということは、それなりに時効援用について勉強をしておかなければならないということなのです。

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