~消滅時効の援用で失敗しないために知っておきたいこと~
固定資産税のような税金でも、時効の援用の対象になるのか解説します。
滞納すると大きなペナルティがある固定資産税。数ヶ月の滞納ならまだ許される可能性はありますが、1年以上だと厳しい状況に追い込まれるでしょう。
上記が滞納によって発生する主なリスクです。では、各リスクに合わせて具体的な内容を解説します。
固定資産税を滞納すると、土地や建物を差押えられます。固定資産税は所有する土地や家といった不動産にかかる税金です。滞納をすると督促状が送付されます。督促状には明確に「期日までに未納分の支払いがなければ土地や不動産を差押える」という内容が記載されています。督促を無視して放置すれば、不動産を差押えられる可能性が高まるのです。
差押え対象は不動産に限らず、給料や預貯金も含まれます。預貯金口座の残高が、差押口(銀行内の別口座)に移されると自由に下ろすことはできません。
「滞納したらその分だけ支払えばいいだけでしょ?」と考える方もいるかもしれませんが、甘くないのです。税金でも、滞納すれば延滞金が発生します。東京都の例を出すと、年利9.0%の延滞金です(平成29年1月1日から平成29年12月31日まで)。毎年、年間、元本の1割近い金額が増える計算です。長期的な滞納になるほど延滞金も高くなり、経済的な負担は大きくなるだけと言えます。
※参照元:東京都主税
(https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/common/tozei_nouzei.html)
自己破産の免責がないのも大きなリスクです。金融業者からの借金は、自己破産をすると消滅します。しかし税金全般は、自己破産をしても支払いを免除されません。
固定資産税を滞納したあと、どのような流れで財産が売却されるのか紹介します。
上記の流れで財産を失うことになります。各ポイントの内容を解説します。
滞納を続けると、督促状が送られてきます。督促とは、催促する書面のことで、「早く支払ってください」といわれているのと同じです。地方税法371条1項に基づくと、納付期限から20日以内に滞納していた方に送られます。
※参照元:弁護士法人みずき
(https://www.mizukilaw.com/personal/debt/reminder-deadline-10days/)
督促を発送して10日以内に、滞納が解消されないと財産の差し押さえをしなければならないと法律で定められているのです。10日以内に納付しないと、いつ差押えられても不思議ではありません。
※参照元:習志野市 Narashino City
(https://www.city.narashino.lg.jp/soshiki/saikenkanri/gyomu/sinosaiken/tainoushobun.html)
督促が届いたら素直に自治体の窓口に相談したほうがいいでしょう。
督促を無視すると、徴収職員は財産調査や身辺調査をします。国税徴収法141条で定められているため滞納者は逃れられません。財産調査で滞納者は預金や保険金を調査され、本当に支払い能力がないのか徹底的に調べられます。
※参照元:国税庁
(https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/chosyu/05/06/02/141/01.htm)
民間の金融会社と違い、簡単に勤務先や預金口座を特定されて調査されるでしょう。
財産調査と捜索の結果、財産が見つかれば差押えられます。通常は真っ先に預金口座や給与が先に差押えられるでしょう。不動産と違って、預貯金や給与は現金なので差し押さえしやすく、不動産だと換金手続きのための手間と時間がかかります。
最終的に差押えられた財産は競売で売却されます。給与が差押えられない、預金残高がない場合は、自宅の動産が差押えられます。動産とは、自動車やバイクやブランド品や宝石、絵画や骨董品です。生活必需品は財産として差押えは禁止されています。
実は固定資産税は、納付期限から5年経過すれば時効で消滅します。地方税法18条でも定められているものです。ただ、民法の消滅時効に関する規定があります。民法147条では、特定の事由が発生することで時効が中断されるのです。つまりカウントダウンはリセットされます。
※参照元:アスモア税理士法人
(https://asmore-tax.jp/qa/?act=Detail&mode=View&id=00000657)
リセットされると、それまでのカウントは消えてしまい、翌日から起算して5年経過しないと時効は成立しません。財産の差押えをされたら、差押え解除から5年が新しい時効です。固定資産税に時効はあったとしても、基本的に成立するのはむずかしいと考えたほうがいいでしょう。
※参照元:弁護士法人 泉総合法律事務所
(https://fudosan.izumi-legal.com/column/zeikin/koteishisanzei)
滞納した場合、どんな対応策が考えられるかいくつかご紹介します。
一般的に分納して納付する方法があります。徴収職員と話し合って、作成した分納計画通りに納付するのです。ただし、口約束という側面があります。計画通り納税できなくなると弁明の機会も与えられません。結果、一気に差押えされるリスクがあるのです。また、延滞金が優遇されることもありません。
徴収猶予は、納税者の財産が震災、災害で失われる、盗難、事業廃止、親族の病気や負傷のような特殊事情が要因で支払えない場合の猶予措置です。固定資産税の納付を1年間猶予されます。
条件次第では延滞金の50~100%が免除されますし、分納計画通りに納税ができなくても弁明できる機会もあるのです。猶予期間中は差押えもないですし、差押えられている場合でも解除されるケースもあります。ただ、条件を満たさないと利用できないですし、書類も用意しなければならず手間はかかります。
※参照元:東京都主税局
(https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/ncov/new_virus_yuyo.html)
納税者の財産の換価をすぐにすると、事業継続や生活維持がむずかしい場合、さらに納税者に税金を支払う誠実な意思があると認められた場合、1年間の猶予を受けられます。また、やむを得ない事情があるなら2年間の猶予です。
※参照元:東京都主税局徴収部徴収指導課
(https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shitsumon/tozei/pdf/kanka-no-yuyo-tebiki.pdf)
徴収猶予は特別な事情がないと条件を満たせません。すでに差押えを受けている場合、換価の猶予の手続きをすると対応できる場合があります。
大前提は「支払う意思がある」という点です。支払うのがむずかしくて、自治体の窓口へ相談しにいくというのも換価の猶予の「支払う意思がある」からこその行動でしょう。
時効の援用とは、債務者が債権者に「借金は消滅時効を迎えている。だから返済義務はない。返済はしない」と意思を伝えることです。消滅時効が成立していれば時効の援用に成功します。結果、借金の支払義務は消滅するというものです。
債権者が債務者に対し請求をしない状態で、法律で定められた期間が経過することで成立します。最後に支払い、5年間(地方税法第18条の規定)、請求も支払いをしていない状態なら成立している可能性があるのです。
※参照元:アスモア税理士法人
(https://asmore-tax.jp/qa/?act=Detail&mode=View&id=00000657)
ただ、固定資産税の場合、時効の援用は不要とされています。時効が成立すれば支払義務が消滅するだけ。しかし固定資産税の時効を成立させるハードルは高いと言わざるを得ません。消滅時効は、債権者による請求や差押えや仮処分、債務者の承認で中断されるので、残り1日で5年経過するから時効成立という状況だとしても、無関係にリセットされて0から数え直しになります。督促を届けるだけでもリセットされるので、現実的に固定資産税の時効成立はむずかしすぎるのです。
以下のページでは、時効の援用について詳しく解説をしています。
固定資産税にも時効はあります。納付期限から5年経過すれば時効で消滅するということが地方税法18条で定められているのです。また、時効の援用も不要で時効が成立します。
※参照元:アスモア税理士法人
(https://asmore-tax.jp/qa/?act=Detail&mode=View&id=00000657)
正直なところ、簡単ではありません。自治体は税金に関していい加減ではないからです。請求、差押えや仮差押え、または仮処分、支払義務があることを認める承認などをすれば、時効までのカウントダウンはリセットされます。
それまでに固定資産税の滞納により差押えされる可能性は十分にあるのです。もし、経済的な事情で支払いがむずかしいなら、専門家にご相談ください。借金があれば、債務整理の提案もしてもらえます。固定資産税を滞納し、大切な土地や家を差押えられた競売をされる前に対策しましょう。
代表弁護士:田中 健太郎 先生
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