~消滅時効の援用で失敗しないために知っておきたいこと~
個人間融資掲示板とは、お金を借りたい人と貸したい人をつなげる掲示板です。インターネット環境があれば融資取引ができるため便利と感じる方もいるでしょう。仕組みや危険性などを調査しました。
個人間融資掲示板の仕組みは簡単です。個人間融資掲示板やSNS上に融資希望を書き込みます。貸し手が連絡を取ってきたら、借り手は名前や住所や勤務先や勤務状況、現在の収入やメールアドレスや金額を伝えて交渉する流れです。
交渉してお互い納得できれば、貸し手が借り手の口座に振り込みます。工程の中で取引相手と顔を合わせることもないです。仕組みは、掲示板を通した「物の売買」と変わりません。ただ、貸し手のほとんどはヤミ金か詐欺師と考えたほうがいいでしょう。貸し手が積極的に「お金を貸します」と借り手を募集しているケースが多いからです。
SNSを使ったケースも個人間融資掲示板と変わりません。たとえばツイッターで「お金を貸して欲しい」「お金がない」とつぶやいたとします。ツイートを見た貸し手が「いいですよ」とDMを通して連絡を取ってくる流れです。
個人間融資掲示板と同様に、直接的にメールやSNSなどを使って交渉し、融資が成立。個人間融資掲示板のメリットは、とても気軽な点です。顔を合わせなくても済みます。その分、融資のための交渉はしやすいかもしれません。ただ、それ以上に「貸し手が何者か不明瞭」という不気味さがあります。
個人間融資と似たようなものとして、ソーシャルレンディングがあります。ただし、個人間融資とソーシャルレンディングは明確に違うものです。ソーシャルレンディングは、個人と個人での融資取引ですが、仲介者として企業が入ります。
また、ソーシャルレンディングは事業の立ち上げを目的とした融資ですが、個人間取引は目的は自由です。
個人での金銭の貸付は、金融業者のように継続的に反復する意思があるなら、貸金業に該当します。そのため、国や都道府県に登録をしなければなりません。
もし登録をしていないと、貸金業の無登録営業になり、10年以下の懲役もしくは3,000万円以下の罰金です。無登録業者による勧誘なら、2年以下の懲役、もしくは300万円以下の罰金です(※)。
借り手側としては「借りるだけなら問題がないんだな」と軽く考えるかもしれません。しかし、法律違反をなんとも思っていない貸し手の意味を考えてみてください。お金を返済する段階になって、トラブルに発展する可能性は高いです。
※参照元:e-Gov法令検索|貸金業法第47条・第47条の3
(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=358AC1000000032)
借り手側としては「借りるだけなら問題がないんだな」と軽く考えるかもしれません。しかし、法律違反をなんとも思っていない貸し手の意味を考えてみてください。お金を返済する段階になって、トラブルに発展する可能性は高いです。
金融業者は貸金業法の利息制限法も守らなければなりません。利息制限法を無視した利率での貸付も禁止ししています。利息制限法だと、貸付元金額10万円未満で年利20%、100万円未満で年利18%、100万円以上は年利15%が上限です。
※参照元:e-Gov法令検索|利息制限法第1条
(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=329AC0000000100)
もし上限の利率を超えると、貸金業違反となり、利率が109.5%を超えると出資法違反にあたります。また、借り手も知らずに法律違反をする可能性も0ではありません。
※参照元:e-Gov法令検索|貸金業法第12条の8
(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=358AC1000000032)
※参照元:e-Gov法令検索|出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律第5条
(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=329AC0000000195_20220617_504AC0000000068&keyword=出資法)
最初から返済意思がない、返済の見込みがないのに借りると詐欺罪に該当するリスクもあります。これは個人間のやりとりでも関係ありません。
単純に融資詐欺の温床です。「お金を貸します」といっても個人ですから、詐欺を目的にしている可能性は十分あります。「100万円貸してもいいけど保証金、手数料として5万円が必要です」といわれたらどうでしょうか。「100万円借りられるなら5万円ぐらい」となり振り込みます。
結果、100万円は振り込まれません。連絡が取れないところで「詐欺だ」と気づくわけです。本当にお金に困っている方にとっては絶望でしかないでしょう。
貸し手には個人情報を伝えなければなりません。本人の名前、住所、氏名や生年月日、口座番号などです。ただ、本人以外の家族、友人、知人の情報も聞いてくるかもしれません。お金を借りられると思って伝えれば最悪です。
漏れた情報は悪質な業者によって金銭に換金されます。個人情報を利用され周りの人間に迷惑をかけるリスクもあります。代表的な事例はオレオレ詐欺で、友人・知人や恋人の家にまで怪しい電話や投函といったトラブルが発生する可能性も。当然、情報を伝えた人間は周りからの信頼を失うでしょう。
相手がヤミ金の高利貸付になると、厳しい状況に追い込まれるでしょう。貸金業登録をしていないヤミ金業者だと法定を無視した利息を要求します。例えば「10日で1割のトイチ」は有名ですが、年利換算すると約360%にもなるのです。
ヤミ金業者の取り立ては、一般的な業者と異なります。延滞したら職場に連絡はもちろん、深夜の電話、暴行・恐喝をしてもお金を回収しようとするのです。こういった危険性は個人間融資掲示板にもあるので、迂闊に始めないようにしましょう。
場合によっては返済できないと性犯罪被害にあうリスクがあります。「お金を返済できないなら」という弱みに付け込んで性行為を共用されることもあるのです。「風俗店紹介する」といって無理やり働かされる危険性もあります。
お金が返済できないと、口座買取をもちかけられる場合があります。借り手名義の預金口座の買取は危険です。振り込め詐欺の受取口座といった犯罪に使われるケースがあります。そもそも法律で口座の譲渡は禁止です。譲渡した側も刑事罰になる可能性があります。
貸し手から、クレジットカード番号や利用サイトのアカウント情報を聞かれる可能性があります。教えると、貸し手が借り手のクレジットカードやアカウント情報を使って、勝手に買い物やキャッシングをするフィッシング詐欺の被害にあうリスクがあるのです。
「融資する代わりに」「返済できないなら仕事を紹介する」というふうに、仕事を紹介される場合もあります。当然、一般的な仕事ではないです。オレオレ詐欺や受け子や窃盗の手伝いをさせられる危険性があるのです。
個人間融資掲示板サイトで被害にあったら、運営元に相談できないかと考える方もいるでしょう。結論からいえば、運営元は助けてくれません。貸し手と借り手のトラブルは、当事者間で解決してくださいという姿勢です。注意書きにも「個人間融資の交渉には介入していない」「詐欺にあったら警察に相談、金融庁の担当課に相談して」というふうに、トラブルには一切介入してくれないのです。
運営元は掲示板を提供しているだけです。詐欺にあっても「掲示板を提供しているのだから責任がある」と訴えても相手にしてもらえないでしょう。まさに自己責任です。
個人融資掲示板のリスクを承知の上で利用する場合なら、とくに注意して欲しいポイントがあります。絶対的に安全に活用できるレベルにはなりませんが、知っているだけでも危険を回避しやすくなるでしょう。
金利や借入の諸条件を念入りに確認してください。個々人の解釈で定義が変わる言葉や約束事も共通認識を得てください。その上で証拠を残しおくことが重要です。また、個人間の融資でも利息制限法は関係するため、利率を理解しておきましょう。
少しでも詐欺やヤミ金と感じたら、手を引いたほうが無難です。個人で貸し手として金利を取っている個人間融資掲示板のほとんどは、ヤミ金と考えたほうがいいでしょう。少なくとも貸金業登録をしているか、金融庁の情報検索サービスを利用してチェックしてみてください。
個人間での貸し借りでも、契約書を作成したほうが無難です。面倒だと、元金の額や借入日や返済期限や返済方法、利率まで契約条件が曖昧だとトラブルになるからです。金銭消費貸借契約書(借用書)を作成し、メールでもいいので、やりとりを残すようにしてください。
多くの方に知られている有名な個人間融資掲示板もありますが、安易に信用してはいけません。有名と安全はイコールで結びつかないからです。有名だから安心、多くの人が利用しているから安心ということは、個人間融資掲示板ではありえません。
インターネットの情報を見ると「この個人間融資掲示板は安心」という記事も見つかるかもしれません。しかしあくまで個人間融資掲示板です。不特定多数の方もいます。少しの成功例を見てすべてを判断すると痛い目に合います。
ヤミ金のトイチのように、高額な金利を要求されるケースもあります。相手が犯罪集団だった場合、個人でどうにかしようとしても無理です。その場合は、弁護士や司法書士のような専門家へ相談することを検討しましょう。法外な利息を取っていて強気だとしても、弁護士や司法書士だと、相手にとっては分の悪い相手になります。ひどい取り立てがなくなる場合もあるため、まずは相談してみてください。
以下では、個人融資掲示板でトラブルになった場合に相談ができる東京の弁護士事務所を紹介しています。
返済の代わりに口座を譲渡した、売った場合は犯罪に巻き込まれるリスクが高くなります。売買した口座は、振り込め詐欺やマネーロンダリングに使用される可能性があるからです。ただ、口座を売っても落ち着いて銀行に相談してみてください。
すぐに口座を凍結することで犯罪に巻き込まれるリスクを回避できます。犯罪に使われると知った上で売ったとなれば、被害者が出た場合、責任を問われて賠償金を支払わなければならないケースもあるのです。
口座自体売るのも罪はありますが、被害者が出る前に止めることを優先してください。知らずに売った、共犯ではないということを伝えるのが重要です。
マイナンバーや免許証を送ってしまったら、早く警察に相談してください。とくに個人情報を伝えても融資してもらえなかったら、詐欺でしかないです。個人融資をしようとしたから警察に逮捕されるかもしれないと考えるのは不要です。身分証明書を悪用されれば本当に大きな被害が出かねません。
個人融資掲示板を利用するということは、お金に本当に困っているからでしょう。銀行や消費者金融でも借りられないから、個人融資に頼るというのは、かなり厳しい状況のはずです。ただ、個人融資に頼っても、詐欺被害や犯罪に巻き込まれる、ヤミ金の取り立てで困り果てる可能性は十分あります。
ただ、個人融資の前にできる対策は複数あるためあきらめないでください。年金を担保にする福祉医療機構、事業資金なら日本政策金融公庫の貸付もあります。生活福祉貸付制度もあるのです。金利も低いですから、個人融資よりリスクが少ないため検討してみてください。
代表弁護士:田中 健太郎 先生
法律相談件数が20,000件を超える実績(2023年8月時点)がある東京スカイ法律事務所では、【借金問題の相談無料】という相談者にとって非常に助かるサービスを提供しています。
東京に居を構える弁護士事務所ですが、地方からの相談にも対応しており誰からの相談にも真摯に応えてくれる頼れる弁護士事務所となります。
借金相談無料
土日相談可
電話相談可
メール相談可
所属弁護士会 | 第一東京弁護士会 |
---|---|
所在地 | 東京都中央区京橋二丁目12-9 ACN京橋ビル601 |
営業時間 | 9:00~21:00 |
連絡先TEL | 0120-0505-90 |
借金の返済義務を無くすことができる手続き、時効の援用についてまとめているカテゴリーです。
貸主対応や失敗のリスクなど、時効の援用につきまとう不安を回避できる相談先を紹介。
借金の種類ごとに、未払い・滞納を放置するとどうなるか、どのくらいで時効になるか、解説しています。
時効の援用手続きには、大まかに分けて以下のような3つの種類があります。それぞれ詳しくまとめてみました。
債権回収会社とは何なのか、督促状などが送られてきた場合どう対応すべきか、まとめてみました。