~消滅時効の援用で失敗しないために知っておきたいこと~
借金を滞納すると、貸主から「期限の利益喪失通知書」が届くことがあります。ここでは、期限の利益とはどういうものなのかをはじめ、期限の利益を喪失するケースや通知書が届いたときの対処法、期限の利益の喪失を事前に回避する方法などをまとめました。
期限の利益とは、約束した期日がくるまでは返済しなくても良い、という債務者の利益のことです。返済日がまだの借金に対して、貸主から「明日までに全額返済してほしい」と言われたとしても、債務者は期限の利益を主張して断ることができます。
期限の利益によって債務者には返済日までの猶予期間が与えられていますが、場合によっては期限の利益を主張できないことがあります。これを「期限の利益の喪失」といい、返済期日がまだの借金でも一括で返済しなければいけません。期限の利益の喪失が起こるケースについて、見ていきましょう。
民法第137条では、期限の利益の喪失について以下の3つのケースが定められています。
※参照元:e-Gov法令検索
(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089_20230614_505AC0000000053&keyword=%E6%B0%91%E6%B3%95)
これらの3つのケースに該当する場合、債務者は期限の利益を主張できず、貸主は一括返済を求めることができるようになります。
民法の規定だけでは借金を回収できない可能性があるため、万が一に備えて契約書にも期限の利益の喪失に関する条件が付加されています。契約に記載された事由は基本的に守らなければいけないので、しっかりと確認しておきましょう。契約書に期限の利益の喪失に関する条項がない場合でも、民法で規定されているので貸主は法律に則って一括返済を請求できます。
滞納への予防策として盛り込まれている事由で、債務者が期日までに返済しなかった場合、貸主は期限の利益の喪失を主張できます。ただし、1回の滞納で一括返済を求められることはほとんどありません。実際は、滞納が何度も続いている場合やそのほかの事情で借金の回収が難しいと貸主が判断した場合に、この事由に則って一括請求されるケースが多いようです。
期限までに返済しなかった場合と同様に、ちょっとした契約違反程度であれば期限の利益の喪失を主張されることは基本的にありません。この事由に則って期限の利益の喪失を主張されるとすれば、契約違反によって借金の回収がかなり難しいと判断される場合です。
民事では期限の利益の喪失の規定に「破産手続き開始の決定を受けたとき」と記載されていますが、契約書では民事再生や会社更生、特別清算なども期限の利益の喪失を主張できる事由として含まれます。契約書によっては手続きの開始ではなく、申し立てが行なわれたときに期限の利益の喪失が主張可能になる場合もあるため、確認しておきましょう。
滞納分を通知書に記載されている期日までに返済すれば、期限の利益の喪失を避けられます。このときに返済するのは、支払期限を迎えている分のみです。通知書の期日までに返済できなかった場合は、支払期限をまだ迎えていない借金も全額で返済しなければいけません。返済の負担を軽くするためにも、できるかぎり通知書の期日までに返済するようにしましょう。
通知書の期日までの返済は難しいものの、返せる目途がある場合は、貸主に相談しましょう。いつなら返済できるのか具体的な日付を提示することで、期日を延長してもらえる可能性があります。
期日までの返済が難しく、さらに返せる目途も立たない場合は、債務整理を検討しましょう。債務整理とは借金の減額や返済義務の免除を行なえる法的手続きのことで、自己破産や任意整理、個人再生といった方法があります。返済状況によって適した方法が異なるため、弁護士や司法書士などに相談するのが確実です。
債務整理を検討するのであれば、速やかに専門家に相談しましょう!
返済できるお金はあるものの、振り込みするのを忘れて滞納が続きそうな場合は、銀行口座から自動で引き落としされるように設定しておきましょう。そうすれば返済期日に勝手に引き落とされるため、期限の利益が喪失する心配はありません。スケジュール通りに動くのが苦手な人はもちろん、何らかの事情で忙しくなって振り込みを忘れてしまうことは誰にでも起こり得るので、自動引き落としにしておくと安心です。
返済期日がきたときにお金がないということがないよう、毎月の手取り額と生活に必要な額をしっかりと把握しておきましょう。そのうえで毎月の返済額を確保しておけば、お金がなくて返済できないという事態を回避できます。また、今月は返済が厳しいと事前に把握することで、日払いのアルバイトをしたり不用品を売ったりと、と不足分の回収に動けるようになるはずです。
代表弁護士:田中 健太郎 先生
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