~消滅時効の援用で失敗しないために知っておきたいこと~
「借金をしているが、どうしても払えそうにない」借金の悩みや後ろめたさを抱えて生活するのは大変なこと。そんな日々とさよならするためにも、正当に借金を時効にできる「時効の援用」はぜひ検討してほしい方法です。
このページでは、時効の援用を成功させるために知っておきたいポイントをご紹介します。
時効の援用の成功率は、成功させる要件が揃っており、弁護士などプロの手を借りて行った場合であれば90%程度です。
ただし、記憶があいまいで時効成立に必要な期間を経過していなかった場合や過去に裁判を起こされていたことに「気づいていなかった・忘れていた」など、自分の記憶だけを頼りに自己判断で行うと失敗することがあります。
時効の援用が成功した場合、業者によっては契約書などの書類を返送してくれるケースもあるでしょう。しかし、ほとんどの場合は時効の援用が成功したかどうか、相手から連絡をくれることはありません。
時効援用の成立を確認する方法に、1カ月ほど待ってから信用情報を確認するやり方がありますが、信用情報が更新されるまでに時間がかかる可能性もあります。確認できるまで何度も開示請求を行うのは手間がかかるでしょう。
他には、債権者に直接連絡して「時効援用通知書についての回答を聞きたい」と確認する方法があります。ただ、うっかり支払いの話に応じてしまうと時効の援用に失敗してしまいます。このような確認は弁護士にすべて一任しておき、弁護士からの回答を待ちましょう。
時効の援用を申請するならぜひ成功させたいもの。時効の援用の成功率をアップさせる3つのポイントについてご紹介します。
1点目は、「個人信用情報」を取得しておくことです。
借入先や借入金額、契約内容や支払い状況、時効期間が経過しているかがわかります。
個人信用情報は下記の3機関で調べられますが、以下の信用情報機関の会員となっている所の情報のみが取得できるため、1つの信用情報期間ですべてを網羅することはできません。
できればすべて取得しておくことをおすすめします。
窓口に出向いて情報開示を求める方法だけでなく、郵送やスマートフォンからも情報開示ができるので忙しい方でも手配しやすいでしょう。
以下のページでは個人の信用情報を詳しく確認する方法を紹介していいます。
2つ目は、債権者から請求書または督促状が届いていたら、捨てずに保管することです。
これらの書類には最後に払った時期や、債務名義の事件番号といった時効期間を明らかにするのに必要な情報が掲載されています。
ちなみに、時効の成立は最後に支払った日から5年または10年が経過した後です(事業者/個人と、どこから借金したからで時効までの年数が変わります)。
過去に届いた請求書が残っていないか、忘れずに確認しておきましょう。
3つ目は、時効の援用にあたって相談できる専門家を探しておくことです。
時効は中断されることがあるため、ご自身で調べた時効が必ずしも正しいとは限りません。実際には、まだ時効が経過していないにもかかわらず、時効の援用の意思表示をする文章を送ってしまい、訴訟につながったり督促が再開したりというケースもあります。
時効の中断についてはこちらをご覧ください。
実際に時効の援用が成立し、借金返済がゼロになったケースを紹介します。
相談者のもとに債権会社から「催告書」が届き、その後も返済を促す手紙や電話の連絡が相次いでいました。困った相談者は司法書士に相談し、どのように対応すべきかを検討しました。
司法書士が調査したところ、「支払期日」が14年前であることが確認され、それ以来、相談者は債権会社に対して一切返済を行わず、裁判も起こされていないことが判明しました。このため、催告書が届いてから1ヶ月後、司法書士事務所が債権会社に連絡し、消滅時効の援用が認められました。
相談者は15年間放置していた借金について、債権会社から「特別和解案」の通知を受けました。この案では「残債の50%の支払い」を求められていましたが、相談者はこれを支払うべきかどうかを行政書士に相談しました。
行政書士が書類を確認すると、最後の返済が15年前であり、それ以来、返済や連絡、裁判が一切行われていないことがわかりました。その結果、行政書士は債権会社に対して消滅時効の援用を内容証明で通知し、最終的に債務は50%どころか完全に無効となり、返済義務が消滅しました。
相談者は債権会社から送られてきた一括返済催告状を受け取り、司法書士に借金を消滅時効で解消できるかを問い合わせました。司法書士が確認したところ、弁済期日から10年以上が経過していることが判明しました。
司法書士は過去の裁判の有無や裁判所からの郵便物を確認した結果、債権会社に対して相談者が一切の通知を受け取っていないことが分かりました。また、催告状に記載されていた弁済期日が10年以上前であることも確認され、司法書士は消滅時効を援用できると判断し、即日手続きを進めました。
相談者は債権会社からの借金を返済できず、別の委託会社から「和解の提案」が届きました。その通知には、債権が他社に譲渡され、最終的に新しい債権会社が回収を担当していることが記載されており、対応に不安を感じていました。
新しい債権会社が裁判を提起する可能性があるため、行政書士は迅速に最終返済日を確認し、消滅時効の援用が可能と判断。内容証明を送付し、裁判開始前に債務を解消しました。
時効の援用が失敗する多くの要因に、時効が成立していないのに時効援用通知書を送ってしまうケースが挙げられます。時効に必要な期間が経過していないのに感覚だけで援用手続きを行ってしまうと失敗に終わります。
借金の返済を求めて債権者が訴訟を起こしていた場合、その時点で時効はストップします。さらに、敗訴して裁判が確定すると時効は10年になり、裁判の確定日から時効のカウントし直しとなります。
訴訟を起こされると裁判所からの書類が届きますが、引っ越しなどで書類が届かないまま知らないうちに裁判をされていた場合、時効が中断していたのに気づけません。
時効が中断しているにもかかわらず時効援用を行っても、当然、時効援用は失敗してしまいます。
時効援用に際して失敗しがちな理由の1つに、債務者が債権者と直接交渉するというものが挙げられます。債務者と債権者の直接交渉そのものが時効援用の失敗原因になるものではないものの、その交渉中の会話でうっかり「支払いを待ってもらいたい」とか「少しずつでも返済していきます」といった発言をすると、債務が承認されたと見なされて時効更新となってしまう恐れが生じます。また自分では問題ないと思っている発言が、債権者にとって有利に働くといったケースも起こり得るでしょう。
債務者という立場で債権者と相対すると、緊張や不安からどのような発言をしてしまうか分からないため、債権者との交渉は弁護士や司法書士へ委任することが無難です。
ひとまず時効援用が成立したとしても、そこで借金問題が解決したと油断して、その後に債権者へ債務の一部だけでも支払ってしまった場合、「債務の承認」となって時効が更新したり債務が復活したりといった状況に陥る可能性が高まります。
例えば、時効援用を承知の上で債権回収の担当者が自宅を訪れ、「せめて千円だけでもいただければ面目が立って帰れます」といった風に泣き落としを行ってきた際、債務者としての負い目から「千円くらいなら」とお金を支払ってしまうと、債務の承認となって時効が復活する恐れが生じます。
また「借金の返済ではないけれど、人情として迷惑をかけたから少しだけでも支払おう」といった風に考えて支払いをすることも禁物です。
時効援用後は少額であっても債権者への請求に応じず、請求された場合は弁護士などへ相談してください。
インターネット上には様々な情報があり、例えば時効援用通知に関するテンプレートや雛形といったデータも色々と公開されています。そのためそれらのデータを活用し、専門家へ相談せずに自分で手続きをすることは可能です。
しかしそういったテンプレートや雛形の中には、法的に正しい仕様で作成されたものだけでなく誤ったものもあり、どのようなデータを使用すれば良いのか自分自身で正しい知識を備えておかなければなりません。
また債権者の情報や送付先についても誤った内容を記載してしまえば当然に問題解決が困難となるため、リスクを回避するためにも専門家へ相談することが安全です。
時効の援用に失敗すると、他に支払いを免れる理由がない限り、借金の元金や利息、遅延損害金を支払わなければなりません。債権者との交渉によって分割での返済ができる場合もありますが、多くが一括での借金返済を求められます。
しかも、借金には元金とは別に、高額な遅延損害金も請求されるでしょう。時効の援用を行うほど長期にわたり借金を放置していた場合、遅延損害金が膨れ上がっていることも少なくありません。借り入れた元金と当初の利息よりも、さらに多くのお金を返さなくてはならないのです。
時効の援用に失敗してしまうと、借金を返済しなくてはなりません。どうしても借金の返済が難しい場合、債務整理を検討する必要があります。債務整理の種類はいくつかあり、個人の債務整理では主に以下の方法があります。
金融機関などの債権者と交渉を行って、今後の利息をカットし、毎月の返済額を無理のない範囲まで減額してもらう手続きです。裁判所が介入しないので手続きがしやすく、財産を手放す必要もありません。
借金を大幅に減額して、減額された金額を原則3年かけて返済する方法です。借金をこれまでの金額の5分の1程度に減額できます。裁判所に申し立てて、再生計画を立てる手続きを取ることで実行できます。生命保険や車などの資産を手放すことなく手続きできるほか、住宅ローンが残っている場合、住宅ローンの返済はそのまま継続でき、家を処分せずに住み続けられます。
自己破産とは、借金の返済が困難であることを裁判所に認めてもらい、借金の支払い義務そのものを免除してもらう方法です。自己破産が認められると、これまでの返済を一切しなくても良くなりますが、持ち家や車などの財産を手放さなくてはなりません。
時効援用通知書は決まりがありません。自分で作成した書類でも、内容が網羅されていれば受理されます。しかし、その事案に応じた適切な文書を作成するのは難しいものです。確実に時効が経過していることを確認し、漏れなく個人信用情報からも削除してもらうためには、法律の専門家に依頼するのが賢明です。
代表弁護士:田中 健太郎 先生
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