~消滅時効の援用で失敗しないために知っておきたいこと~
特定調停とは、借金が返せなくなった時に簡易裁判所を通して返済方法を話し合う手続きで、民事調停の一種です。約3年の分割払いとなるのが通常で、債務者と債権者が合意すれば調停が成立し、和解内容は調停調書に記録されます。
特定調停で債務の減額や返済計画について検討するのは、裁判所の調停委員会です。そのため、債務整理を行いたくても弁護士や司法書士に依頼する費用がない人に役立ちます。裁判所にある申立用紙などを利用すれば、債務者が自力で手続きすることが可能です。
ただ、そもそも特定調停に応じない債権者もいます。債権者が話し合いに応じてくれる場合のみに実施できる方法です。
特定調停に似たような手続きに任意整理がありますが、任意整理は、裁判所を通さずに司法書士や弁護士が債権者と直接話し合う方法です。裁判所が関与しないため裁判所に提出する書類を用意しなくても行えます。
また、相手方を選んで話し合えるので比較的簡単ですが、特定調停と同じく引き直し計算と将来利息のカットで債務総額を減額するだけで、元本のカットは行われません。遅延損害金を減額・免除してもらえる可能性はありますが、元本が減額されることは難しいでしょう。
個人再生とは、民事再生法に基づいて行われる個人の債務整理手続きです。本来、企業の再生のために作られた法律でしたが、2001年より個人の再生手続きも扱えるようになりました。
特定調停では元本カットが行われないため、債務減額の効果は小さいですが、個人再生では、裁判所に再生計画が認められれば債務を大幅に減額できます。減額できる額は、民事再生法によって定められた最低弁済額によって決まります。これは債務者の借金の金額によって異なりますが、最大で元の借金の5分の1までに圧縮できます。
また、特定調停は法律の知識がなくても手続きできるようになっていますが、個人再生は手続きが厳格で難易度が高いため、弁護士などの法律の専門家に依頼するのが一般的です。
もし特定調停を申し立てた場合、借金の時効がいくらせまっていても、時効期間が一度リセットされ、特定調停が調ってから10年に延長されます。借金の種類が商事債権・民事債権のどちらに当たるかの区別がなくなるためです。
そのため、銀行や消費者金融などの金融機関からの個人的な借金も、商売のために作った借金であっても時効は10年となります。
特定調停を行うことによって支払いの負担を軽減できる可能性はありますが、時効が大幅に伸びることになるため、借金の時期によっては特定調停での解決が向いていない場合もあります。
特定調停は、慎重に検討する必要があると知っておきましょう。
特定調停の時効は10年ですが、特定調停で決まった債務について時効を成立させるのは現実的ではありません。特定調停後に催告を受けず、債権者も時効を中断しない可能性が非常に低いためです。
そもそも、自分の都合で特定調停を申し立てた債務者が、合意内容に従った返済計画を実行せずに逃げ切ること自体が不合理です。
特定調停後に時効成立を狙って返済をしないままでいると、以下のような影響を受ける可能性があります。
調停で合意した内容が記される調停調書や決定書は「債務名義」に該当します。債務名義は裁判の判決と同じ効力を持っていて、債権者は債務名義を根拠に債権回収をすることができるようになります。
もし時効成立を狙って返済をしないままでいると、返済期日を2回過ぎた時点で強制執行ができるようになります。給与や財産を差し押さえられてしまうでしょう。
借金をした人が特定調停後も時効成立を目的に返済をしない場合、債権者は保証人に請求を行う可能性があります。
その場合、保証人に求められるのは残債の一括請求です。そうなると、保証人やその家族の生活にも多大な影響を与えてしまう可能性があります。保証人に迷惑をかけたくないのであれば、特定調停に時効成立を狙うようなことを行ってはなりません。
特定調停で債務減額や返済計画について検討するのは、裁判官1人と民間から選ばれた2人で構成される「調停委員会」です。調停委員会との交渉は自身で行わなければなりません。
調停委員会は、利息制限法に基づく引き直し計算を行い申立人の債務者や相手の債権者に意見を聞いた上で調停案を立案します。
調停委員には弁護士資格を持った人物が選ばれますが、必ずしも債務整理を専門にしている弁護士とは限りません。調停委員によっては、望んだような条件での和解ができない場合もある点には注意が必要です。
特定調停の費用は、1社につき2,000円程度です。2社目以降は切手代256円が加算されるので、コストを抑えて手続きができます。
ただ、専門家に依頼をする場合は、調停費用のほかに依頼費用が必要です。
特定調停後に時効成立を狙うのは現実的ではありませんが、万が一返済を行わずに時効期間を過ぎたとしても、借金が勝手に消滅することはありません。
債権者に対し、時効成立を主張して初めて時効が成立します。このときに必要なのが時効の援用手続きです。以下では、時効の援用について詳しく解説していきます。
特定調停後、最後に借金の返済を行ってから10年が経った場合、または途中で差押えにあい、その時から10年が経った場合には、「時効援用通知」を出せば消滅時効が成立します。
特定調停を行った後の時効の援用は条件に当てはまるのが難しいように思われますが、調停で決めた内容通りの借金を返済できず差し押さえにあい、それ以降は全く返済していないなど、時効援用の条件に当てはまるケースもあります。
特定調停をしたものの、なお返済が難しいと感じている方は、あきらめずに弁護士などプロの力を借りてみるのも一手です。
代表弁護士:田中 健太郎 先生
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